
ビタミンA過剰摂取と食品・食材と効能・効果

ビタミンAとは
ビタミンAは脂溶性ビタミンである。腸管内でミセル形成することで可溶化され、十二指腸粘膜細胞から吸収される。
消化管から適切に吸収されるにはミネラルと脂肪が必要である。
体内に貯めておくことができるので、毎日補給する必要はない。
ビタミンAにはふたつの種類がある。動物性の食品にだけ含まれる「レチノール」と、体内で必要に応じてビタミンAに変わるβカロテンと呼ばれるプロビタミンA(植物性、動物性食品の両方に含まれる)である。
ビタミンA摂取推奨量
ビタミンAの量は、RAE(レチノール活性当量)によって測定される
レチノール活性当量とは、体内に吸収され転換されるレチノールの重量である。
β-カロテン12μgはレチノール1μgに相当する量(レチノール活性当量:RAE)
推奨量は、成人男性は、850〜900μgRAE/日、成人女性は650〜700μgRAE/日とした。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」策定検討会報告書より
妊婦のビタミンA推奨量
妊婦の食事摂取基準は、妊娠初期(13週と6日)・中期(14週0日〜27週6日)は推定量は700μgRAE/日だが、妊娠後期(37週〜40週)は推定平均必要量760μg、推定量は780μg ARE/日が必要である。
胎児へのビタミン A の移行蓄積量を付加する必要がある。
厚生労働省「人部の食事摂取基準」より
37〜40週の胎児では、肝臓のビタミンA蓄積量は 1,800μg 程度であるので、この時期の体内ビタミン A貯蔵量を肝臓蓄積量の2倍として、3,600 kg のビタミン A が妊娠期間中に胎児に蓄積される 。母親のビタミンA 吸収率を70%と仮定し、最後の3か月でこの量のほとんどが蓄積される。これらの事実に基づき、初期及び中期における付加量を0(ゼロ)とし、後期における推定平均必要量の付加量を設定した。
ビタミンA過剰摂取
ビタミンAはβカロテンのかたちで摂ることが最も望ましい。なぜなら、すでにビタミンAのかたちになっている動物性食品のビタミンAは、摂りすぎた場合に毒性をもつことがあるけれども、β-カロテンにはそのような毒性はないからだ。
ビタミンA毒性症状
毒性症状には、頭蓋内圧の上昇(偽脳腫瘍)、浮動性めまい、悪心、頭痛、肝臓障害、皮膚炎、筋肉痛、関節や骨の痛み、脱毛、嘔吐、生理不順、下痢、昏睡がみられ、死亡することもある
皮膚病で、薬の大量投与を受けている患者には、慢性的ビタミンA過剰症が起こりうる。
ビタミンAの欠乏はビタミンCの損失を招く。
妊婦のビタミンA毒性症状
妊娠中、とくに妊娠初期の三カ月間におけるビタミンAの過剰摂取は異常出産(奇形や視覚や聴覚の異常、流産や死産)の原因となりうるので注意が必要だ。
ビタミンA豊富な食品・食材と効能・効果
ビタミンA豊富な食品・食材オススメ
魚の肝油
肝油(かんゆ)とは、タラやサメ、エイの肝臓に含まれる液体、およびそれから抽出した脂肪分である。
肝油100gあたりの含有量 30,000μgRAE
レバー
鶏レバー(生)100gあたりの含有量 14,000μgRAE
豚レバー(生)100gあたりの含有量 13,000μgRAE
牛レバー(生)100gあたりの含有量 1,100μgRAE
魚の肝
あんこうの肝100gあたりの含有量8,300μgRAE
うなぎの肝100gあたりの含有量4,400μgRAE
うなぎと穴子
やつめうなぎ(生)100gあたりの含有量 8,200μgRAE
うなぎ(かば焼)100gあたりの含有量 1,500μgRAE
あなご(生) 100gあたりの含有量500μgRAE
ぎんだら(生)100gあたりの含有量1,100μgRAE
ほたるいか(ゆで)100gあたりの含有量 1,900μgRAE
ニンジン
野菜の中で一番βカロテンを多く含む
ニンジン100gあたり含有量 8600μg(βカロテン当量)720μgRAE
緑色野菜
ホウレンソウ100gあたり含有量4200μg(βカロテン当量)350μgRAE
プロセスチーズ100gあたりの含有量260μgRAE
鶏卵100gあたり含有量150μgRAE
ビタミンaの効能・効果
視覚:夜盲症、視力低下を防ぎ、さまざまな目の障害の治療を助ける(視覚色素である視紅の形成を可能にする)。
抵抗力:呼吸系の感染に対する抵抗力をつける。
免疫機能:免疫系が適切に機能するのを助ける。
回復力:病気の回復を早める。
健康:組織や臓器の外層の健康を保つ。
美顔:老斑をなくす。
美容:成長を促進し、強い骨、健康な皮膚、髪、歯、歯ぐきをつくる。
美肌:外用すれば、にきび、浅いしわ、膿痂疹(のうかしん)、皮膚表面の潰瘍の治療の助けとなる。